1. キーコムRTSシリーズの全体像
事前に設定したRVの相対速度・距離に基づいてテストを行う。 | 24GHz,60GHz77GHz,79GHz | なし | ||||
RVの相対速度・距離を変化させながらテストを行うことができる。 | 24GHz,60GHz77GHz,79GHz | あり |
*1. シミュレーションしたいターゲットの数、シナリオ、製品モデルなどによってシステムの構成が変わります。担当者にご相談下さい。 *2. BSW: Blind Spot Warning,後側方車両検知警報、BCI: Back-up Collision Intervention、後退時衝突防止支援システム *3. 相対距離・速度が一定であるため、後方車が接近する状況をシミュレーションできない
2. より精緻なターゲットシミュレーションに向けて---キーコムRTSの進化
基本的なレーダーターゲットシミュレーション
2-1. 固定ターゲットタイプRTS(RAT-01)
2000年初頭ごろまでの状況として、自動車の運転制御を行う主体はヒトのドライバーであり、 車載レーダーは、フロントライトのように、ドライバーを補助するツールの一つにすぎませんでした。
このため、レーダーのテストにおいては、レーダーが、想定しているカタログスペック通りの距離・速度の測定ができるかどうかを確認することに主眼が置かれており、固定ターゲットタイプRTSでも、十分に試験のニーズを満たすことができました。
自動運転の要請を踏まえた、より現実的なレーダーターゲットシミュレーション
しかし、自動運転の時代に入ると、状況は変わります。
自動運転車は、例えば、前方車両が急接近した場合の減速・ブレーキなどのように、車載レーダーが取得した情報に基づいて、ドライバーの判断を介さないで、車が直接アクションをとります。したがって、起点になる車載レーダーが検知を誤れば、重大な事故につながります。
こうした背景から、レーダーが、起こりうる様々な状況(シナリオ)に応じて必要な情報をしっかり取得できるか否かが重要となり、レーダーテストシステムの機能強化が求められるようになりました。
2-2. ムービングターゲットタイプRTS(RTS-DM-03)
そこで、キーコムがまず開発したのが、ムービングターゲットタイプのRTSです。
これは、Remote Vehicle(RV)の速度・距離を可変とし、RVが接近・遠ざかる状況をシミュレーションしつつ、レーダーの機能を検証できるシステムです。
これにより、RTSとECU/HILSとの連携をとることで、ACCなどADASの重要な機能のテストができるようになりました。
2-3. ムービングアンテナ(RAT-19)
ムービングターゲットタイプRTSがシミュレーションできるケースは、HV,RVが同一車線を走るケースに限定されます。
しかし、実際の車は、車線を変更しながら走行します。自動運転車の安全を確保するためには、レーダーが、RVの車線変更の動きを的確に検知できるかどうかを検証しなければなりません。
そこで、キーコムがご用意したのが、ムービングアンテナシステムです。これは、RVを模擬したアンテナを左右に動かし、車線変更の動きを再現することで、より現実的なレーダーテストを可能にしました。
より精細なシミュレーション・・・デジタルタイプRTSの登場
デジタルタイプRTS(ME7220 DM シリーズ)
以上の取り組みを通じ、ADASの研究開発に対応できるレーダーテストの実施が可能となりましたが、 「より精緻なターゲットシミュレーションを実施したい」というユーザーの声が日増しに高まって きました。
こうしたニーズに応えるため、キーコムは、デジタルタイプRTSの開発に着手。最短距離2m、 距離解像度15cmなどの高性能化を実現するとともに、車載レーダーの高周波数化にも対応し、 現在、24GHz, 60GHz, 77GHz, 79GHz向けの製品をご提供しています。