解説:斜め偏波のケースにおける透過減衰量の計算
アンテナ面を任意の角度に回転させた場合においても、TE波または、TM波の場合と同様に測定できます。
ただし、アンテナ面を回転させても試料台を回転させないと入射角θ=0degなので、あまり意味はありません(TE波およびTM波と同じになる。)
なお反射波は、入射角が0deg以外だと反射方向が異なる(電波が返ってこない)ので計算できません。図1に例として周波数変化法測定装置における、ジオミトリを示します。
図1において、TE方向およびTM方向、更には電界面の回転角φは容易に理解、計測できますが、一般の場合は多少考察が必要です。
一般の場合を図2において考察します。
図2において、試料面(エンブレム面)の反射方向の法線ベクトルをnとし、電波の波数ベクトルをkとした場合に、外積n×k方向の単位方向ベクトルがETEiの単位方向ベクトルとなります。この単位ベクトルをeTEとすれば、法線ベクトルnと波数ベクトルkのなす角を(π-θ)としたときに、
で表されます。ここで、eTEは、試料面上のベクトルと考えても、アンテナ上のベクトルと考えても良いことに留意下さい。
アンテナ上のETMi方向の単位ベクトルeTMは、kとeTEに垂直ですから、sin(π-θ)=sinθであることに注意して、
で表されます。
以上のように定義されるeTE、eTM、に対し、アンテナの電界ベクトルEipiとの関係で偏波角φは定義され、ドット積・(太字)を内積として、
という2つの直交成分が導出できます。
これらの値を用いて、透過減衰量を計算します。